プリズナーズ
PRISONERS (2013)
★★★★★★★☆☆☆ 7
ヒュー・ジャックマンとジェイク・ギレンホール共演の「プリズナーズ」。この映画はこんな人におすすめ。
- やり場のない怒りを抱えている人。
- 複雑に絡まったストーリー構成を読み解くのが好きな人。
- ウルヴァリンとミステリオの競演が観たい人
「X-メン」でウルヴァリンを演じたヒュー・ジャックマンと、「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」でミステリオを演じたジェイク・ギレンホール。
言い換えると、筋肉ダルマのヒューと、目玉ギョロギョロのジェイク。
こんな二人とエレベーターで鉢合わせしたら、思わず非常ボタンを押してしまいそうです。
ついでに言うと、「アイアンマン」1作目でローディを演じたテレンス・ハワードまで出ています。
もうマーベル映画好きにはヨダレもの。が、作品はいたってシリアスです。
娘が行方不明になり、証拠不十分で釈放された容疑者に対し、娘の父親がだんだん常軌を逸した行動を取っていきます。そうした心理的スリラー要素と、「誰が真犯人なのか?」というエンタメ的ミステリー要素が混じっています。
さらに、「結局何が正しい行動なのか」と考えさせられる、道徳的、宗教的メッセージも含まれています。
正気を失っていく父親役のヒュー・ジャックマンと、正義感あふれる刑事役のジェイク・ギレンホールの演技も見ごたえある演出。
特にこの監督さんはジェイク・ギレンホール好きなんでしょうか。
主演のヒューを差し置いてやたらドアップが目立ち、画面が目玉で占領されます。
監督は、「ブレードランナー 2049」、「メッセージ」、「複製された男」等のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督。
そういえば「複製された男」もジェイク・ギレンホールでした。
色々な要素が混ざっているのに雑多な印象がなく、この監督さん特有の、シンプルで静謐な印象が余韻として残ります。
ただし。
「羊たちの沈黙」「セブン」など歴史に残る傑作と比較されがちですが、「羊たちの沈黙」のレクター博士のような、ある種のポップさのあるキャラクターは出てきませんし、「セブン」のような衝撃度もありません。
綺麗に、丁寧ににまとめ過ぎたことで、作品のインパクトが薄くなった感もあります。
「ブレードランナー 2049」にも感じたことですが、この監督さんはとても優等生的な作り方をします。そこが少し物足りなかったり。とはいえ秀作、良作です。
ラストは想像力を刺激してくれます。あの音は空耳だったのか、それとも…。
儚く切なくなりますが、一筋の希望を残してくれます。
キャスト・スタッフ
監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
キャスト:ヒュー・ジャックマン、ジェイク・ギレンホール