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ギルバート・グレイプ

WHAT'S EATING GILBERT GRAPE(1993)

ギルバート・グレイプ

(C)1993 DORSET SQUARE FILM PRODUCTION AND DISTRIBUTION KF

★★★★★★★★★★ 10

誰にでも「心の一本」となる映画があると思います。観る人を選ぶ作品ですが、私にとっての心の一本「ギルバート・グレイプ」はこんな人におすすめ。

  1. 好きな言葉は「自由」な人。
  2. 生まれた環境、あるいは現在の状況に何らかの枷がある人。
  3. 淡々とした起伏のないドラマでも眠くならない人。

過食症で肥満の母と、知的障害のある弟(レオナルド・ディカプリオ)の面倒を見るギルバート(ジョニー・デップ)。心の優しい青年ですが、家族の世話に追われ、人妻との情事が唯一の癒し。
そんな中、移動生活で過ごすベッキージュリエット・ルイス)と出会います。

この映画のキーワードは「自由」だと思います。
生まれ育った境遇に縛られ町から出られないギルバートと、自由奔放に生きてきたベッキーとの対比。
家庭環境は、努力や意志ではどうにもなりません。それを真摯に受け入れつつも悩み、人間くさい過ちもおかしてしまうギルバートを、若き日のジョニー・デップが好演しています。

今やおかしな方向に行ってしまっているジョニー・デップ。この頃はカルト俳優的な存在で独特の透明感がありました。
同じく今やおかしな貫禄ついてしまっているレオナルド・ディカプリオ。彼の演技が凄いと絶賛されましたが、私はジョニー・デップの抑えた演技の方に惹かれました。

ラッセ・ハルストレム監督も、「HACHI 約束の犬」「僕のワンダフル・ライフ」といった大衆的お涙頂戴系の映画監督に転じてしまった印象ですが、この頃は特定の人だけに引っかかる、心の奥の深い領域に染み入る作品を作っていたと思います。

ずいぶん昔に観た映画です。
その時の感動が深過ぎたため、なかなか二度目の鑑賞が出来ずにいます。
ひょっとしたら、あの時ほど感銘しないのではないか、がっかりしてしまうのではないか。ギルバートは今頃どうしているだろう、自由になれたのだろうか。そして、あの頃と比べて自分は自由になったのか。

私にとっては、暖かい日だまりのような、もう戻れない遠い子供時代の記憶のような映画です。

キャスト・スタッフ

監督:ラッセ・ハルストレム
キャスト:ジョニー・デップジュリエット・ルイスレオナルド・ディカプリオ