ターミネーター:ニュー・フェイト
TERMINATOR: DARK FATE(2019)
★★★★★★☆☆☆☆ 6
ジェームズ・キャメロン復帰作とのことですが、監督は別人というのがミソの「ターミネーター:ニュー・フェイト」。
こんな人におすすめ。
- 「ターミネーター2」に深い思い入れのない人。
- 3~5作目を観ていない人。
- マーベル映画のようなアクション・エンターテイメント作品が観たい人。
「ターミネーター2」の続編(正史)として、「3~5作目は気に入らないからなかったことにした」本作。
キャラクターの正式なその後の話を作る、というより、今のシュワルツェネッガー、今のリンダ・ハミルトンのために今作を用意した、という印象を受けました。
要はキャラ主体でなく役者主体で作られた物語。今の彼らに合うのはこういうキャラ設定であろう、というように。
それはエドワード・ファーロングにも言えることです。
新キャラはとても魅力的だと思います。
特にマッケンジー・デイヴィス演じるグレース。女性ですが長身なので、絵に迫力が出ます。
ん?でもこのグレースの設定、どこかで観たような…
4作目観ていない人の方が、新鮮に受け入れられると思います。
そして、本作の真の主人公と言うべきナタリア・レイエス演じるダニー。
バイオハザードやワイルド・スピードに出ているミシェル・ロドリゲスに品をもたせ美人にした感じ(ミシェル・ロドリゲスが品がなく不美人と言っているのではありません、念のため)
マイティ・ソーに出ているテッサ・トンプソンにも似ています。
敵ターミネーターのREV-9は、普通の作業員といった感じでそこらへんにいそうです。でもこれが逆に怖い。
ターミネーター2の敵はとことん無表情でしたが、REV-9は人懐こい笑顔でほほ笑みます。でも目が笑っていません。何も見ていない、まさに機械のような目です。
グレースとREV-9の戦いには目を釘付けにされます。
これがマーベル映画を撮っているティム・ミラー監督の真骨頂でしょう。
「そうか、これは新しいターミネーターの話なんだ」と思ったのも束の間、リンダ・ハミルトンとシュワルツェネッガーが出てくると様相が一変します。
やはり今作の見どころは、久々の登場となるリンダ・ハミルトンではないでしょうか。
60歳を過ぎているはずですが、セリフや身振りにキレがあり、丸まったどころか尖った印象。
シュワちゃんに関しては、5作目に出ているためあまり新鮮味はないです。
ロボットなのに年を取っているし、何だか身体も膨張気味。カールおじさんとして心(CPU?)を入れ替えました。
ん?この設定もどこかで観たような…
5作目観ていない人の方が、新鮮に受け入れられると思います。
シュワちゃんが出てくると、お決まりのテーマ(ダダッダンッダダンッ)が流れます。
ここぞという所で流した方がキマるはずですが、これ見よがしに流れます。
これじゃもうターミネーターのテーマではなくシュワルツェネッガーのテーマですね。
そして、お決まりのパターンで全てをもっていってしまいます。
結果、新キャラの方に振り切れておらず、かといって旧キャラの描き方も薄いので、映画に深い心理的要素を求める人には向いていません。単純なアクション・エンターテイメント作品を楽しみたい人におすすめです。
「ターミネーター2」が出来たのは1990年代。ノストラダムスの予言なども話題になり、終末思想なるものとマッチしていたのでしょう。
でも終末は来ず、今は2019年。世界は終わらず、時代は続いていきます。
運命に身を委ねず、自らの志で道を切り開こう、というメッセージとして受け取りました。
キャスト・スタッフ
監督:ティム・ミラー
キャスト:アーノルド・シュワルツェネッガー、リンダ・ハミルトン、マッケンジー・デイヴィス、ナタリア・レイエス